|
鼻中隔矯正術、粘膜下下甲介骨切除術、後鼻神経切断術
鼻のしくみと関連して
鼻中隔とは鼻の真ん中のしきりのことです。軟骨の板と、骨の板とでできています。顔の発育とともに鼻も発育しますが、骨より軟骨の板のほうが発育が盛んなので、その違い(ひずみ)のために彎曲(わんきょく)がおこります。誰でも多少鼻は曲がっていますが、いつも鼻がつまって口呼吸やいびき、においがわからないなどの症状がある場合は手術で直します。これを鼻中隔矯正術といいます。
下の患者さんは、右に凸の鼻中隔彎曲症です(オレンジ太線)。また、特に左側に肥厚性鼻炎を認めます。

鼻腔の側壁から出ているヒダのようなものを下鼻甲介(上記写真の「*」部分)といいます。粘膜が厚かったり、骨がとび出ていたりすると肥厚性鼻炎になります。症状は、とにかく鼻が一日中詰まりっぱなしで、点鼻薬(血管収縮剤)もだんだんと効果がなくなってきます。これを直すのが、粘膜下下甲介骨切除術(とびでている骨を削る)、下鼻甲介粘膜切除術(厚くなった粘膜を削る)です。
後鼻神経とは、鼻の中の感覚と鼻水の分泌を司る神経です。
後鼻神経は鼻の空気の通り道の広さを調節している下鼻甲介の中を走っています。
この神経の働きにより、アレルギー物質を感知したり、鼻水を分泌したりするのですが、過剰に反応してしまうと、くしゃみ鼻水が止まらなくなり、非常に不快な症状となります。
経鼻腔的翼突管神経切除術は2通りあります。
1 後鼻神経切断術は奥の方(後鼻神経の本管)で切断、切除する方法
2 【選択的】後鼻神経切断術は後鼻神経の下鼻甲介枝のみを選択的に粘膜の中から同定し、焼灼、切断する方法
後鼻神経切断術は後鼻神経の根本を切断する手術でとても効果的です。ただ術後稀ではありますが大量の出血を起こすことがあります。
また、鼻の乾燥、萎縮性鼻炎、エンプティノーズ症候群などの副作用が多く生じる可能性があります。
【選択的】後鼻神経切断術は後鼻神経切断術よりも出血のリスクが少ないですが、下鼻甲介のみの神経切断ですので、極めて重症のアレルギー性鼻炎の方には効果が不十分な可能性があります。
それでも多くの場合くしゃみや鼻汁を大幅に改善できます。
当院では安全性を第一優先に考えて【選択的】後鼻神経切断術を行っています。
手術は内視鏡を用いて行われます。
鼻中隔彎曲症がない場合には、粘膜下下甲介骨切除術、後鼻神経切断術のみ行います。
いびき、睡眠時無呼吸との関連
睡眠時無呼吸とは、一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上おこる、または、睡眠1時間あたりの無呼吸数が5回以上おこることをいいます。そのため昼間の眠気など様々な症状が引き起こされます。睡眠中に無呼吸が繰り返され、体内の酸素不足、睡眠不足がおこります。その結果、日中の眠気、集中力、活力に欠けるなどの症状が現れます。仕事においてもその眠気のため重大事故を起こしやすくなります。鼻中隔彎曲症や肥厚性鼻炎はこの原因となることがあります。
睡眠時無呼吸の治療としてCPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸法)があります。マスクから空気を送り込み気道を確保する治療法です。
この治療方法の長所は、気道の虚脱を防ぐ圧を加えることで、理論上完全に無呼吸をなくすことが可能となります。重症の睡眠時無呼吸にも有効です。ただし、鼻疾患をもつ方は使用困難となりますので、鼻CPAP使用のために鼻手術(鼻中隔矯正術、粘膜下下甲介骨切除術)を行うことがあります。(CPAPがうまくつけられない原因も、鼻呼吸障害であることが多いと考えられます。CPAPがうまく使えない方で耳鼻科を受診されていない方は、ぜひ一度耳鼻科を受診されることをお勧めします。)
手術の流れ - 鼻中隔矯正術
※ 曲がっている部分の軟骨、骨だけをとりますので、鼻の高さが変わることはありません。

1 局所麻酔、ガーゼ麻酔と注射でおこないます(麻酔液が苦いです。胸がどきどきしますがすぐおさまります)。
↓
2 鼻中隔粘膜を観察、メスまたはサージトロンで曲がっているほうの鼻中隔粘膜を切開(図?)。
↓
3 剥離子で粘膜と軟骨(青い部分)を剥離(図?)。
↓
4 メスで鼻中隔軟骨を切開。
↓
5 反対側の鼻中隔粘膜と軟骨を剥離。
↓
6 鼻中隔軟骨や骨の曲がっている部分を切除(ばりばりと音がしてご心配されるかもしれませんが、大丈夫です。)
↓
7 必要に応じて、下の部分の鼻中隔骨を落とす(コンコン音がして不快かもしれませんが、大丈夫です)。
↓
8 止血後、鼻中隔粘膜を縫合(図? 鼻中隔はまっすぐになっています。鼻の中の傷は全くわからなくなります。)。
これで鼻中隔彎曲症の手術は終了です。続いて粘膜下、下甲介骨切除術に入ります。
手術の流れ - 粘膜下下甲介骨切除術 後鼻神経切断術

1 鼻鏡で下甲介粘膜を観察、メスまたはサージトロンで下甲介粘膜前端部を切開。
↓
2 剥離子、またはサージトロンで粘膜と下甲介骨(うす緑の部分です。)を剥離。余分な下甲介骨を切除する。
↓
3 同時に下鼻甲介粘膜切除術をおこなうこともあります。粘膜を縫います。傷は全く分からなくなります。
↓
4止血後、下甲介粘膜前端部を縫合。両方にガーゼをいれて終了です。
手術後、1−2週間は汚れがたまりやすいため、頻回の清掃治療が必要です。
皆様に安心して御自宅で御静養いただくため、また、手術後トラブルを未然に防ぐため、手術後は24時間体制で対応させていただきます。
手術についてのよくあるご質問
|